
阿蘇ミルクロード実戦攻略:11.6km・標高差723mのデータ分析と区間ペース
ルート概要:距離 11.6km、累積標高差 723m、平均勾配 6.2%、熊本県大津町一帯に位置(日本語原名:阿蘇ミルクロード)。本稿ではエンジニアの視点で、この坂を実行可能なペースとギア比のプランに分解する。
ペダルを踏み始める前に、まず数字を正確に把握しよう。阿蘇ミルクロードは全長 11.6km、累積標高差 723m、平均勾配 6.2%。平均値だけを見ると過小評価しがちだ——本当の難所は決して平均ではなく、勾配の分布と変化にある。平均6.2%の道は「全区間均一」かもしれないし、「前半緩やか、中盤急峻、後半安定」かもしれない。両者ではペース戦略が大きく異なる。本稿の目的は、この道のリズムを明確にし、実戦で心の準備ができるようにすることだ。
一、ルート概要と実データ分析
阿蘇ミルクロードは熊本県大津町一帯に位置し、地元でも屈指の登坂ルート。以下が核心データであり、すべてのペース計算の基礎となる:
| 項目 | データ |
|---|---|
| 総距離 | 11.6km |
| 累積標高差 | 723m |
| 平均勾配 | 6.2% |
| 1kmあたりの平均標高差 | 約62m |
| 所在地 | 熊本県大津町一帯 |
「1kmあたりの平均標高差 約62m」という数字は非常に実用的だ。走行中にサイクルコンピューターの距離から「本来」登っているべき標高を逆算でき、現在のペースが予定より速いか遅いかを判断できる。
阿蘇北外輪山の稜線に沿う県道の愛称で、周辺に牧場が多いことから名付けられた。全長約47km
まず理解しておくべきは、平均6.2%は多くのアマチュアライダーにとって「持続型」の勾配であり、一瞬で降車したくなるような壁はないが、時間をかけて徐々に意志と脚を消耗させる。このタイプの坂で最も避けるべきは前半の頑張りすぎ。本当の勝負は後半にある。
二、登坂の物理学とギア・装備
登坂の物理学:なぜ「体重」が最大の敵なのか
平坦路では空気抵抗が最大の敵だが、勾配が3〜4%を超えると戦場は一変する——重力が空気に取って代わり、対抗すべき主要な力となる。プロのクライマーが総じて痩せているのもこのためだ。重力との戦いにおいて、1kgの体重はすべて負担となる。
登坂能力を測る最も核心的な指標は 体重1kgあたりの出力ワット数(W/kg) だ。同じ250Wを出力しても、60kgのライダーは4.17 W/kg、80kgのライダーは3.13 W/kg——その差は長い坂では容赦なく拡大する。強くなりたいと願うすべてのライダーへの示唆:高額な軽量パーツをアップグレードするよりも、まず自分の体重とパワーウェイトレシオを見直すこと。それが登坂において最もコスパの良い投資だ。
本区間の 平均勾配6.2%、累積標高差723m で試算すると、体重70kg・車体込みで約80kgのライダーは、「自身を723m持ち上げる」だけで約567キロジュールの位置エネルギーに対抗する必要がある——これは転がり抵抗と空気抵抗をまだ含んでいない。この数字を理解すれば、登坂に近道はなく、エネルギー保存則は鉄則であり、1ジュールずつ誠実に踏み出すしかないと分かるだろう。
良い知らせは、登坂が最も公平で、最も成長が見えるトレーニングだということ。平坦路では風向きや集団、ポジション取りが成績を左右するが、登坂はほぼエンジンのみが問われる。この11.6kmの坂は、今シーズンの努力を忠実に記録してくれる。
ギア比と装備のアドバイス
本区間の 平均勾配6.2%、累積標高差723m、距離11.6km という条件では、ギア比の選択が完走の快適性を左右する鍵となる。
| ライダーレベル | 推奨クランク | 推奨スプロケット | 説明 |
|---|---|---|---|
| 上級/競技 | 52-36T | 11-30T または 11-32T | 高ケイデンスを維持でき、タイムを追求 |
| 一般/レジャー | 50-34T | 11-32T または 11-34T | 余裕を残し、後半の膝のトラブルを回避 |
| 入門/ロングライド | 50-34T | 11-34T またはグラベル用ギア | 「回せること」を最優先、軽いに越したことはない |
- ケイデンス優先:持続的な坂では、70〜85rpmのケイデンス維持が重いギアを踏むことより遥かに重要。低ケイデンスでの力任せの踏みは乳酸を急速に蓄積し、膝を痛める。
- タイヤ:25c〜28cが転がり抵抗と快適性を両立。下りで路面が荒れている場合は、やや太めのタイヤとやや低めの空気圧が安心感を高める。
- ブレーキ:長い下りでは必ず間欠的にブレーキをかけ、リムブレーキの過熱によるバーストやディスクブレーキの過熱によるフェードを避ける。「前後交互・短く強く」が基本で、長時間の引き摺りブレーキは厳禁。
- 補給携行:ボトル2本は基本。山間部は補給ポイントが少ないため、十分なエネルギージェルと塩タブレットを自前で用意する。
- ウェアの重ね着:山間部は「レイヤリング」が基本。登りで体が温まるため、半袖ジャージのみでも良いが、山頂と長い下りには収納可能な防風ベストやウインドブレーカーが必要。濡れたジャージは下りでの低体温症の最大の原因だと肝に銘じる。
- 補助装備:長い登坂ではサイクルコンピューターにリアルタイムの勾配と心拍数を表示させ、データに基づいたペース配分を。夜間や早朝出発時は前後ライトを必ず準備する。
ケイデンスの迷信と真実
初心者の多くは「力強く踏めば速い」と誤解し、重すぎるギアを選んで低ケイデンスで力任せに踏む。これは最も膝を痛め、最も非効率な乗り方だ。
- 低ケイデンスでの力任せ(50〜60rpm):1回のペダリングのトルクが極めて大きく、膝関節への負担が急増。長期的には慢性スポーツ障害の温床となる。筋肉も「無酸素」的に働き、乳酸が急速に蓄積する。
- 高ケイデンスでの軽い回転(80〜95rpm):負担を「筋力」から「心肺機能」へ移行させる。呼吸はより荒くなるが、筋肉はより長持ちし、膝も安全。プロ選手が登坂時に高ケイデンスを維持する理由もここにある。
実践的なアドバイス:この6.2%の坂では、目標ケイデンスを 70〜85rpm に設定しよう。60rpmを下回ってもまだ踏むのがきついなら、それはあなたが弱いのではなく、ギアが重すぎるのだ——ギアを軽くするのは恥ずかしいことではない。
三、スタートからゴールまでの区間攻略
阿蘇ミルクロードは伝統的な「ひたすら急坂を登る」タイプではなく、阿蘇北外輪山の稜線に沿って起伏する絶景の県道で、全長約47km。本稿ではその中から約11.6km・標高差724m・平均6.2%の代表的な区間を取り上げる。
第1区間:外輪山への登坂(玄関口から稜線へ)
一般的に「道の駅大津」を阿蘇の玄関口の起点とし、平地から外輪山の稜線まで登る。この区間が全体の主要な標高差の源で、平均6.2%は中程度の強度。ケイデンスを安定させることが重要で、沿道の絶景に気を取られてリズムを崩さないように。
第2区間:稜線の起伏区間(ローリング地形)
稜線に上がると、コースは緩やかな上り下り(ローリング)の連続に変わる。この地形のペース配分の哲学は純粋な登坂とは異なる:上りは抑え、下りは流す。下りの慣性でスピードを乗せ、心拍を回復させる。小さな起伏ごとに全力で突っ込むのは禁物。あっという間に体力を消耗する。「地形を利用して省エネする」ことが、ミルクロードを上手く走る鍵だ。
第3区間:大観峰の展望(全区間のハイライト)
大観峰は稜線上で最も有名な展望ポイントで、世界最大級のカルデラ、阿蘇五岳、久住連山を360度見渡せる。阿蘇五岳のシルエットは釈迦の涅槃像に例えられ、全国的に有名な景観だ。到着前の最後の登りは長くないので、締めくくりのスパートだと思って良い。
リズムのアドバイス
ミルクロードの難しさは勾配ではなく、「風」と「距離感」にある。稜線上は遮蔽物がなく、横風や向かい風が顕著にスピードを削ぐ。草原の景色は広大で、残り距離を過小評価しがち。補給とペース配分を短い登坂スプリントではなく、ロングライドとして管理しよう。
四、登坂テクニック:姿勢、呼吸、シッティングとダンシングの切り替え
登坂は「力強く踏む」だけではない。姿勢、呼吸、リズムを組み合わせた技術だ。同じ体力でも、技術のある人はかなりの力を節約できる。
上半身:リラックス、無駄な力を入れない
登坂時、多くの人は無意識に全身が緊張し、肩が上がり、ハンドルを死に物狂いで握る。これらの余分な緊張はすべてエネルギーを密かに消耗している。正しい方法は:肩の力を抜いて下げ、肘を軽く曲げ、手はハンドルに軽く添える(通常はトップかブラケット上端)。上半身はできるだけ静かにし、エネルギーを脚に集中させる。
シッティング vs ダンシング
- シッティング:登坂の主力姿勢。最も効率的で省エネ。6.2%のような持続的な坂では、90%以上の時間をシッティングで安定した出力を維持すべき。
- ダンシング:短い急坂のスパートや、座りっぱなしで違う筋肉群を休ませたい時に適している。ただしダンシングは酸素消費量が多く、心拍が急上昇する。「短期的な武器」であって「長期的な戦略」ではない。長い坂でずっとダンシングし続けるのは、初心者に最も多い体力崩壊の原因だと肝に銘じる。
- 切り替えのタイミング:勾配が急にきつくなった時や、特定の難所を通過する必要がある時、数十秒だけ立ち上がってダンシングし、通過したらすぐにシッティングに戻って心拍を下げる。
呼吸:深く、規則的に
登坂時の呼吸は「深く、ゆっくり、規則的に」。腹式呼吸で酸素を本当に肺の底まで吸い込む。浅く速い呼吸は禁物。呼吸とペダリングのリズムを連動させる(例:2拍で吸って2拍で吐く)と、リズムが安定し、苦しさへの注意をそらすことができる。
ペース配分の心理学:大きな坂を小さく分割する
長い坂に直面した時、「まだまだ遠い」と考え続けると、戦う前から気持ちが折れやすい。ベテランのコツは分割思考だ:坂全体をいくつかの小さな目標(次のコーナー、次の電柱、次の標識)に分割し、一度に目の前の一小区間だけに集中する。「ゴールまであとどれだけ」から「目の前のこの100m」へ注意を移せば、苦しさは管理可能になり、時間も早く過ぎる。
下り坂のテクニックと安全
標高差723mを登るということは、同じく723mを下ることを意味する(往復の場合)。下りは楽そうに見えて、実は事故の高リスクゾーン。真剣に対処しよう。
- 重心を後ろに、低く:下りでは重心をやや後ろに移動させ、低く保つ。両手は確実にブレーキレバーに添え、いつでもブレーキをかけられるように。コーナリング時は外側のペダルを一番下まで踏み込み、体をコーナー内側に傾けて、タイヤのグリップを最大化する。
- ブレーキは「点付け」で「引き摺り」は厳禁:長い下りで最も避けるべきはブレーキを引き摺り続けること。リムブレーキのリムやディスクローターが過熱する——リムブレーキの過熱はチューブのバーストを引き起こす可能性があり、ディスクブレーキの過熱はフェードを招く。正しい方法は「前後交互・短く強く」で、直線区間で減速し、コーナー手前でブレーキを離して、ブレーキシステムに放熱の機会を与える。
- 視線を遠くへ:目の前の路面ではなく、コーナーの出口を見る。視線が体を導く。遠くを見れば、スムーズに曲がれる。
- 安全マージンを確保:山間部の下りでは対向車、落石、砂利、濡れた路面に遭遇する可能性がある。常に「いつでも安全に停止できる」速度範囲内に抑える。成績は生きている人のもの。安全が常に最優先だ。
五、補給、水分、エネルギー管理
補給と水分戦略
標高差723mクラスのルートでは、補給のリズムは「早めに、少量を、頻繁に」。お腹が空いてから、喉が渇いてからでは遅い。
- 炭水化物:毎時40〜60g(エネルギージェル約1〜1.5本または同等量)。90分を超えるライドでは特に重要。
- 水分:毎時500〜750ml。夏場の高温・多湿時は増量。「一気飲み」ではなく「少しずつ」を心がける。
- 電解質:発汗量が多い時、真水は血中ナトリウム濃度を薄めてしまう。必ず塩タブレットや電解質入りスポーツドリンクを併用し、痙攣や低ナトリウム血症を予防する。
- 登坂開始前:開始30分前に炭水化物と水分を一度補給し、体を安定したエネルギー供給状態にして、登り始めてすぐ「ガス欠」にならないようにする。
- カフェイン:適量のカフェイン(開始30〜45分前)は集中力を高め、疲労感を遅らせる。ただし胃腸が敏感な人は、事前にトレーニングで耐性をテストし、本番当日が初めての試行にならないように。
「ハンガーノック」の生理的メカニズムと予防
長い登坂で最も怖いのは俗に「ハンガーノック(bonk)」と呼ばれる状態——突然の全身脱力、めまい、脚が鉛のように重くなり、全くペダルが回らない。これは意志力の問題ではなく、グリコーゲン枯渇、血糖値の急降下という生理現象だ。
人体が蓄えられるグリコーゲンは限られており、高強度運動では約90分で底をつく。グリコーゲンが尽き、外部からの炭水化物補給もないと、体は脂肪を燃焼せざるを得なくなり、エネルギー供給効率が急落する。これが「ハンガーノック」だ。
予防の方法はただ一つ:早めに。
- お腹が空いてから食べるのでは遅い。登坂開始から30〜40分後には規則的に補給を始め、血糖値を安定させ、急上昇→急降下を起こさない。
- 補給は「少量頻回」。一度に詰め込みすぎると胃腸に負担がかかり、血液が消化器官に集中して登坂パフォーマンスがさらに落ちる。
- すでに軽いめまいや手の震えの前兆があれば、すぐに吸収の速い糖分(ペクチン、コーラ、飴)を摂り、強度を下げる。無理に耐えてはいけない。
六、天候と季節
阿蘇ミルクロード最大の天候変動要因は風と霧だ。稜線上は遮蔽物がなく、横風と向かい風が明らかにスピードを削ぐ。早朝は雲海や濃霧が発生することがあり、視界不良時は特に注意が必要。
- 春・夏:草原が最も緑で、空が最も青い。写真撮影とライドのゴールデンシーズンだが、午後は山間部で雷雨が発生しやすい。
- 秋:ススキが揺れ、気候は乾燥して過ごしやすく、体感が最も快適。
- 冬:九州は比較的暖かいが、外輪山の高所では霜や低温が発生することがあり、防寒が必要。
「大観峰の御来光」(日の出)を目当てに訪れるライダーも多い。早朝の低温時は、防寒とライトをしっかり準備しよう。
七、レース前のトレーニングと出発前チェック
レース前のトレーニングと準備
標高差723m・平均勾配6.2%のこの坂を上手く走るには、実戦テクニックも重要だが、本当の底力は日頃の積み重ねから生まれる。
- 有酸素ベース(Zone 2):長い登坂のスタミナは有酸素エンジンから来る。日頃から長時間・低強度(心拍ゾーン2)のライドを行い、「タンク」を大きくするのが最も確実な基本。
- 閾値インターバル(FTPインターバル):登坂出力を向上させたいなら、週1〜2回の閾値インターバル(例:4×8分、8×4分のゾーン4トレーニング)を組み込むと、パワーウェイトレシオを効果的に高められる。
- 登坂シミュレーション:平地に住んでいるなら、ローラー台の勾配シミュレーションや、近所の坂を繰り返し練習して、「持続的な力をかけ続ける」感覚を体に覚えさせる。
- 体幹トレーニング:強い体幹は、登坂時のダンシングで力を効率よくペダルに伝え、無駄に散逸させない。プランクやブリッジなどの自重トレーニングで十分効果がある。
- テーパリング:チャレンジ前3〜5日はトレーニング量を減らし、強度は維持。体を十分に回復させ、グリコーゲンを満タンにして、ベストな状態で臨む。
出発前のチェックリスト
- [ ] 空気圧、ブレーキ、変速、チェーン注油の点検完了
- [ ] スペアタイヤ用品(チューブ、タイヤレバー、携帯ポンプ/CO2、クイックリンク)完備
- [ ] ボトル2本 + 十分なエネルギージェル/補給食 + 塩タブレット
- [ ] 防風ジャケット/ベスト(下りの防寒用)
- [ ] スマホ、身分証明書、少額の現金、緊急連絡先
- [ ] サイクルコンピューター充電完了、ライト準備(早朝/夕方)
- [ ] 天気、日照時間、(あれば)道路の通行状況を確認
八、リスク管理とレベル別の目標タイム
よくある失敗とDNFリスク
- スタートダッシュが速すぎる:山麓で興奮してスプリントし、心拍が最初からオーバー。中盤で完全に崩壊するのは最も典型的な失敗パターン。前半は必ず抑えて走る。
- ギアが重すぎる:自分は踏めると過信し、持続的な坂で膝を壊す。装備は軽いに越したことはない。
- 補給が遅すぎる:めまいや脚の力が抜けてから食べても、血糖値はすでに下がっており、戻らない。
- 下りでの低体温症/オーバーヒート:山間部は昼夜や標高による気温差が大きい。山頂で濡れたジャージは長い下りで急速に体温を奪う。逆に夏場はリムブレーキの引き摺りでバーストしやすい。軽量なウインドブレーカーは命を守る装備だ。
- 路面状況と交通の軽視:観光区間は大型バスや観光バスが多い。コーナーで外側にはみ出さず、無理な追い越しはしない。安全は常に成績より優先。
- メカトラブルへの備え不足:長い山道でパンクやチェーン落ちが起きると、前後無人地帯。出発前に空気圧、ブレーキ、変速を点検し、チューブ、タイヤレバー、携帯ポンプまたはCO2、チェーンクイックリンクを携行するのは、山間部ライドの基本の自衛策。
- 帰路の体力を考慮しない:多くの人が頂上までちょうど使い切るように計算するが、帰りがあることを忘れている。往復または後半に行程が残っている場合は、必ず体力と補給を残しておき、山頂で自分を空っぽにしない。
DNF(未完走)の三大典型シナリオ
数多くのライダーの経験から、この坂での「リタイア(DNF)」は通常、次の3つのシナリオで起こる:
- 前半オーバーペース型:山麓で興奮してスプリント、心拍が最初からマックス。中盤で完全に力尽き、道端で息を整えるしかない。対策——スタート区間は意図的に速度を抑え、興奮を箱に閉じ込める。
- 補給崩壊型:止まって食べるのを惜しむ、または十分な補給を忘れる。半分まで持たずに血糖値が崩壊し、脚がふらつく。対策——早めに、少量を、頻繁に。補給をペース配分の一部と考える。
- 装備ミス型:ギアが重すぎて、持続的な坂で膝が悲鳴を上げ、痛くて続けられない。対策——軽いに越したことはない。「見栄のギア」は家に置いておく。
この3つのシナリオを理解すれば、失敗の9割は避けられる。
レベル別ライダーの目標タイム
以下は 11.6km / 平均6.2% の完走参考(ペース計画用のみ。実際は体重、風、気温に大きく影響される):
| ライダーレベル | 平均速度の目安 | 完走タイム(概算) | ペース配分のポイント |
|---|---|---|---|
| 競技レベル | 登坂 15〜18 km/h | 積極的に推進、心拍を閾値付近に維持 | 前半は抑え、終盤は全開 |
| 上級レベル | 登坂 11〜14 km/h | 安定したリズム、オーバーペースを回避 | パワーまたは心拍ゾーン3中心 |
| 一般レベル | 登坂 8〜10 km/h | 安定完走、補給をしっかり | 心拍ゾーン2〜3、遅くても爆発しない |
| 入門レベル | 登坂 6〜8 km/h | 休憩を挟みながら、区間ごとに完走 | 「降車しない」を第一目標に |
この表の意図は、他人の数字を追いかけることではなく、自分が今どこにいるのかを認識し、「少し背伸びすれば届く」目標を設定することだ。登坂の成長曲線は非常に明確:方法が正しく、練習量が十分なら、この坂の完走タイムはシーズンごとに確実に伸びる。その目に見える達成感こそが、登坂の最も魅力的な部分だ。
九、よくある質問(FAQ)
Q:登坂初心者ですが、このルートは自分に向いていますか?
A:阿蘇ミルクロードは平均勾配6.2%、標高差723m。基本的なライド経験があり、ギアを十分に軽くし(34Tインナーに32T以上のスプロケットを推奨)、「スピードを追わず、完走を目標にする」心構えがあれば、やる気のある初心者の多くは完走できます。鍵はペースを遅くし、展望ポイントで休憩を許し、他人と比べないことです。
Q:どれくらい軽いギアが必要ですか?
A:持続的な坂では「軽いに越したことはない」が常に正しい。自分の能力に自信がなければ、34Tインナーに11-34Tスプロケット、さらにはグラベル用ギアも検討。余分な軽いギアは保険に過ぎず、使わなくても問題ない。しかしギアが足りないと、膝のダメージは本物です。
Q:補給はどれくらい持っていけばいいですか?
A:完走タイムで見積もる。90分以上かかる見込みなら、ボトル2本(うち1本は電解質入り)、エネルギージェル2〜3本または同等量、塩タブレットを最低限用意。山間部は補給ポイントが少ないので、多めに持っていくに越したことはない。
Q:一人で走っても安全ですか?
A:山間部の単独走行では、必ず家族や友人にルートと予定時間を伝え、スマホ(電波が入る区間を確認)、身分証明書、少額の現金、パンク修理道具を携行。道に不慣れなら、複数人で走る方がより安全です。
Q:上達したかどうかはどう判断すればいいですか?
A:同じ区間、似た天候と装備で、完走タイムまたは平均パワーを比較する。登坂は最も正直な鏡。方法が正しく、練習量が十分なら、数字はシーズンごとに確実に良くなる。サイクルコンピューターやパワーメーターで記録し、成長を可視化しよう。
Q:もう走れない、諦めたい時は?
A:急いでDNFしないで。止まって、糖分を一口、水を一口、深呼吸を数分。多くの「もう走れない」は実は血糖値の低下かペース配分の失敗で、休めば続けられることが多い。本当に無理ならそれでもいい——山はいつでもある。安全に下って、次回また来ればいい。それが賢いライダーです。
十、このルートを走り切るための3つの鍵
結局のところ、阿蘇ミルクロードを上手く走るには、3つのこと。単純だが貫徹は難しい:
- ペース配分の規律:スタート区間は意図的に10〜15%抑え、後半に力を残す。山麓で抜いた人たちは、たいてい山頂手前で追いつかれる。登坂は「飛ばしたい」という自分との心理戦。前半を我慢できれば、後半に笑える。
- ギアの正直さ:「見栄」でギア比を選ばない。6.2%の持続的な坂では、1枚でも軽いギアを選び、ケイデンスを75rpm以上に維持する。膝と後半のスタミナが感謝してくれる。山頂で誰もあなたのスプロケットの歯数を聞かないが、膝は覚えている。
- 補給の前倒し:「早めに、少量を、頻繁に」を筋肉記憶にする。お腹が空いてから食べるのでは、この11.6kmの坂は長い罰になる。補給をペース配分の一部として捉え、あってもなくてもいい挿話にはしない。
データを読み解き、リズムを守り、補給を徹底する。阿蘇ミルクロードは、一つの難題から、楽しめる高品質なトレーニングへと変わる。熊本県大津町一帯に位置するこの名坂は、最も誠実な準備をもって臨む価値がある。素晴らしい走りと安全を祈る。山頂で、努力する者だけが見られる景色を。
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