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はじめに
オリンピックのトライアスロン中継を見ると、選手がシューズをあらかじめペダルに掛けておき、裸足でT1を飛び出し、走りながらシューズを履く姿が見られます。バイクを降りる前も同様に足をシューズから抜き、裸足でT2に駆け込みます。これがフライングマウント/ディスマウント(Flying Mount / Dismount)で、15〜25秒の短縮が可能です。本稿ではスプリント選手が段階的に習得する方法を解説します。
なぜフライング式を使うのか
- T1を出るときにバイクシューズを履かなくて済むので、速く走れる
- T2に入る前にシューズを脱いでおき、足を直接地面に着けて走れる
- 乗り降りで15〜25秒の短縮になり、500mのバイクスプリントに相当する価値がある
ただしリスクもあるため、初心者はまず基本的なトランジションをマスターしてから、ステップアップしてください。
フライングマウント(Flying Mount)動作の分解
- T1スタート時は裸足でバイクを押し、シューズはペダルに掛けておく(ゴムバンドでシューズの上面を地面と平行に固定)
- マウントラインの3m手前までゆっくり押し続ける
- マウントラインを越えたら右手でサドルを支え、左手でハンドルを握る
- 右足をサドルの上をまたいで「シューズの上面」に乗せ、最初の1回転を漕ぐ
- 左足も同時にシューズの上面へ
- 15km/hまで加速してから、数回に分けて足をシューズに差し込み、ベルクロを留める
- 途中で止まらない
練習場所:公園の人のいない歩道で、まず静止した状態でシューズの上面に跨る練習をし、その後ゆっくり5km/hで練習します。
フライングディスマウント(Flying Dismount)動作の分解
- T2の200m手前から減速を始める
- 両足のベルクロを緩め、足の裏をシューズの上面に移動する
- ディスマウントラインの30m手前で、左足をシューズから離して直接ペダルの側面に乗せる
- 右足をシューズの上面から後輪をまたいで左足の隣に移動する
- 両足を交互に「ランニング式」で着地し、バイクは体の横に停める
- 左手でハンドルを持ち、バイクを押して走って入る
練習のステップアップ
| 段階 | 重点 | 推定練習時間 |
|---|---|---|
| 1 | 静止してシューズの上面に跨る | 2時間 |
| 2 | 5km/hの低速で跨る | 3時間 |
| 3 | 走りながらシューズを履く | 5時間 |
| 4 | 降車前に足をシューズから離す | 3時間 |
| 5 | 一連の動作を完全に繋げる | 5時間 |
実用的なアドバイス
- シューズの予備掛けは「2本のゴムバンド」で、それぞれシューズのかかとをフレームのリアエンドとシートステーに結び、走り出したら自動的に切れるようにする
- シューズの上面に薄くベビーパウダーを塗ると、足が滑りやすくなる
- レース当日に初めて試さないこと。最低でも3つの小規模レースで練習しておく
- T1の動線が上り坂だったり砂があったりする場合は、従来のトランジションの方が速いこともある
- 転倒リスク:マウントラインの5m後が転倒しやすいポイントなので、ゆっくりでも構わない
おわりに
フライング式トランジションは上級テクニックであり、スプリント完走の必須条件ではありません。しかし、すでに安定して完走できるようになり、さらに5%向上したいなら、このテクニックはコストパフォーマンスが非常に高いです。毎週30分練習すれば、4週間後にはエリート選手と同じ動作ができるようになり、節約できる時間は数ヶ月分の練習に相当します。ゆっくりでいいので、安全第一でいきましょう。