
タンパク質の「最低値」と「最適値」
国際スポーツ栄養学会(ISSN)による持久系アスリートへの推奨:
- 最低値:1.2 g/kg/d(筋肉減少の防止)
- 推奨値:1.4–1.7 g/kg/d(一般的なトレーニング)
- 最適値:1.8–2.2 g/kg/d(高トレーニング量または減量期)
トライアスロン選手はトレーニング時間が長い + 3種目の運動形態のため、単一種目選手より筋肉の分解が多く、推奨値は 1.6–2.0 g/kg/d に設定されています。
1.6 vs 2.0:何が違うのか?
70 kg の選手の場合:
- 1.6 g/kg = 112 g/日
- 2.0 g/kg = 140 g/日
差は 28 g と一見小さく見えますが、年間 365 日 × トレーニングに換算すると 合計 10,000 g の差になります。この差は以下に影響します:
- トレーニング後の回復速度(12–24 時間の差)
- 怪我の発生率(高タンパク群は 15–20% 低い)
- シーズン終盤の筋肉量維持
- 免疫系(低タンパク群は風邪の回数が 2–3 倍)
各フェーズの推奨値
| フェーズ | 推奨 g/kg/d | 理由 |
|---|---|---|
| Base Phase | 1.6 | トレーニング量は中程度 |
| Build Phase | 1.8 | 高強度で筋肉分解が多い |
| Peak Phase | 1.8 | 筋力の維持 |
| Taper | 2.0 | 量を減らすが筋肉は維持 |
| レース後回復 | 2.0 | 組織の修復 |
| 減量期 | 2.2 | 筋肉減少の防止 |
| 怪我の期間 | 2.0 | 組織の修復 |
1日の摂取配分は?
タンパク質吸収の鍵は総量ではなく分散です。
黄金ルール:3–4 時間ごとに 25–35 g
研究によると、1食で 40 g を超えると吸収効率が低下します。そのため、1食で 60 g を摂るよりも、30 g ずつ2食に分ける方が効果的です。
70 kg 選手の1日の配分(合計 140 g)
| 食事 | タンパク質 g | 摂取源 |
|---|---|---|
| 朝食(07:00) | 30 g | 卵 2個 + 牛乳 250 ml + オートミール |
| 間食(10:00) | 20 g | ギリシャヨーグルト + ナッツ |
| 昼食(12:30) | 35 g | 鶏むね肉 120 g + ご飯 |
| トレーニング後(16:00) | 25 g | ホエイプロテイン 1スクープ + バナナ |
| 夕食(19:00) | 35 g | サーモン 120 g + 卵 |
| 就寝前(22:00) | 25 g | カッテージチーズ 150 g またはカゼイン |
タンパク質源の比較
| 食品 | タンパク質含有量 | 必須アミノ酸 | トライアスロン推奨 |
|---|---|---|---|
| 鶏むね肉(100 g) | 31 g | 完全 | トレーニング期の第一選択 |
| サーモン(100 g) | 22 g | 完全 + オメガ3 | 週 1–2 回 |
| 牛肉(100 g) | 26 g | 完全 + 鉄・亜鉛 | 週 1–2 回 |
| 卵(1個) | 7 g | 完全 + コリン | 毎日 2個 |
| ギリシャヨーグルト(200 g) | 20 g | 完全 + プロバイオティクス | 毎日 |
| カッテージチーズ(100 g) | 11 g | カゼイン | 就寝前の第一選択 |
| ホエイプロテイン(粉末 30 g) | 24 g | 完全 + 吸収が速い | トレーニング後 |
| 大豆(乾燥豆 100 g) | 36 g | 完全(植物性) | ベジタリアン |
| ひよこ豆(乾燥豆 100 g) | 19 g | 不完全 | ご飯と組み合わせて補完 |
トレーニング後 30 分のゴールデンウィンドウ
トレーニング後、筋肉合成が最も活発になる 30–60 分以内に:
- 目標:20–30 g の吸収が速いタンパク質
- 第一選択:ホエイプロテイン + 高GI炭水化物(3:1 の比率)
- 代替:チョコレートミルク 400 ml(タンパク質 16 g + 炭水化物 50 g)
就寝前のタンパク質
睡眠中も身体は修復を続けますが、7–9 時間は食事を摂りません。就寝 30–60 分前に 20–30 g のカゼイン(緩徐放出)を摂取することで、夜間のアミノ酸供給を維持できます。
選択肢:
- カッテージチーズ 150 g
- カゼインプロテイン 1スクープ
- ギリシャヨーグルト 200 g + ナッツ
1.6 と 2.0 のどちらが必要かの判断基準
1.6 g/kg/d で十分な場合
- 週あたりのトレーニング < 10 時間
- 減量目標がない
- トレーニング後 24 時間以内に筋肉痛が治まる
- 体脂肪率が正常範囲
2.0 g/kg/d が適している場合
- 週あたりのトレーニング > 15 時間
- IM 226 の準備期間
- 同時に減量も行う
- 頻繁に疲労感があり、筋肉の回復が遅い
- 年齢 40 歳以上(高齢者はタンパク質利用率が低下)
過剰摂取するとどうなる?
タンパク質 > 2.5 g/kg/d は追加のメリットがなく、以下の影響があります:
- 腎臓への負担増加(健康な人には無害だが、腎機能が低下している人は注意が必要)
- 炭水化物の摂取スペースを圧迫
- 水分必要量の増加
まとめ
トライアスロンのタンパク質必要量は 1.6–2.0 g/kg/d の範囲で、Build Phase は 2.0 寄り、Base Phase は 1.6 寄りが適切です。1日 5–6 食に分けて各食 25–35 g を摂る方が、1食にまとめて摂るよりもはるかに効率的です。
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