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トレイルレースのペース配分 なぜ山道でGarminを見るべきでないのか

賽事分析

トレイルレースのペーシング なぜ山道でGarminを見るべきでないのか

トレイルレースのペーシングのパラドックス

ロードレースではGarminを見て5:00/kmで走るが、トレイルレースでGarminを見て5:00/kmで走るのは災難だ。理由:

  1. ペースに意味がない:上り8:00、下り4:00、平地5:30、平均に参考価値がない
  2. GPS誤差が大きい:山林の樹冠に遮られ、GPS距離が実際より10-15%少ない可能性がある
  3. 心拍ドリフトが速い:地形変化により心拍が激しく変動する
  4. エネルギー消費が非線形:急な上り坂は平地の2-3倍のカロリーを毎分消費する

何を見るべきか

主要指標:自覚的強度(RPE)

RPE 1-10段階評価:

  • 1-3:ウォームアップペース
  • 4-5:走りながら会話可能(トレイル50K+に適する)
  • 6-7:短い文が話せる(トレイル25-50Kに適する)
  • 8-9:単語のみ話せる(トレイル10-25Kのスパートに適する)
  • 10:話せない(ゴールスパート)

トレイルレースではほとんどの時間RPE 5-7を維持し、距離に応じて調整する。

二次指標:心拍数

心拍数は見てもよいが数字を追い求めないこと。重要なのは「ドリフト傾向」:

  • 心拍が上昇し続ける → 強度が高すぎる、減速または補給が必要
  • 心拍が安定 → 強度が適切
  • 心拍が下がりペースも下がる → 疲労蓄積、正常

補助指標:標高変化率

ペースより意味があるのは「毎分の上昇メートル数」(VAM):

  • アマチュアトレイルランナーの上りVAM:500-800 m/h
  • エリートトレイルランナーの上りVAM:1000-1200 m/h
  • ハイキングペースのVAM:300-400 m/h

上り坂のペーシング戦略

緩斜面(3-6%)

  • ランニングフォームを維持し、ストライドを短くする
  • ペースは20-40秒/km落ちても許容
  • 心拍は平地より5-8 bpm高い

中斜面(6-12%)

  • 「パワーハイク」と軽いランニングを交互に
  • 心拍は最大心拍数の90%を超えない
  • トレッキングポール(許可されていれば)を使い20%省力

急斜面(12%以上)

  • 直接早歩き
  • 膝に手をついて推進を補助
  • 「見栄」のために無理に走らない

下り坂のペーシング戦略

緩い下り坂

  • スピードを解放するが、快適範囲を超えない
  • ケイデンス180+を維持し、ストライドは自然に伸ばす
  • 上りで失った時間を取り戻す

急な下り坂

  • ストライドを短くし、重心を後ろに
  • 着地ポイントに注意し、捻挫を避ける
  • 心拍はむしろ下がるが、脚の遠心性収縮は負担が大きい
  • 「時間節約」のために過度に飛ばして下らない

補給のリズム

トレイルレースの補給はロードより重要:

  • 30分ごと:100-150 mlの水 + 50-100 mgのナトリウム
  • 45分ごと:30-60gの炭水化物(エネルギージェル/フルーツジェル/咀嚼食品)
  • 各エイドステーション:ハイドレーションを満タンにし、30-60秒滞在(この時間を惜しまない)

心理的ペーシング:区間思考

25Kを超えるトレイルレースは「エイドステーションからエイドステーション」に分割する:

  • ゴールを考えない
  • 「次のエイドステーションまで走る」ことだけを考える
  • 各区間に小さな目標を設定
  • 完了後に再評価

結論

トレイルレースは「ペーシング哲学の逆」:ペースの数字を手放し、体で地形を感じる。時計は記録ツールとして使い、指揮官にはしない。完走できる人は、みな「ペースを見ずに走る」ことを学んだ人だ。

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